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盗人は許せぬ!
盗人が現れたのは昨日のことである。

今日はどうしたことか、昼御飯を食べたらゲーゲーと吐いてしまい、気づいたら頭痛もするので、DVDの『鬼平』を見ながら、ずっとソファに横になっていたのだ。・・・・・


お天気が良いと、蚊が発生していない今の時分は絶好の農作業日和だから、少しずつだけど地道に草を抜き、畑にする部分を耕す。
昨日も相も変わらず、目深に帽子をかぶり、軍手をした手には鍬を持ち、なんだかカッコイイ農婦になりつつある、と私的には満足。

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耕したのは良いけれど、まだここに混ぜる肥料や石灰が無い。これは買わねばならないので、今のところこれ以上進めることはできない。
ということで、再び草を抜く。
これは先日も書いたけど、「抜き尽くす」なんてゼ~ッタイにできないからねぇ。
育ってきている大きな名も知らぬ草(注:雑草)から抜いていく。
そうして、焚き火をしよう! と思って積み上げている枯れ葉+枯れ枝の山に、さらに積み上げていく。

この山に・・・・・・・・、火をつけた時のために、すでにサツマイモを用意しているのだけど、なかなか「焼き芋」に辿り着けていないのが現状だ。

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そうこうしているうちに、何やらフェンス向こうの山で音がする。
まるで熊が歩くがごとく、バキッ、ボキッ、と枯れ枝の折れる音である。
その度に首を持ち上げて見るが姿が見えない。
ネコか? それとも、鳥が何かを下に落としたか? ・・・・・・?

すると、ヌッと男の頭が見えた。

(あっ!)

あれは、間違いなく「石盗みのWナベ」である。こいつは前科があるのだ。

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父がいた頃、かなり本格的に野菜づくりをしていたのだが、山の方も整備をして、枯れ枝などはドラム缶で燃やしたりしていた。
山の斜面のドラム缶を置いた周囲は、石を土に埋めるようにして壁を作った。

その石を掘り出して、盗んでいったのだ。 あいつは。

なんというタイミングか、最後の石をバケツに入れて立ち上がった所に、私は遭遇してしまったのだ。
「何しているんですか?!」
私は怒ると、声が地底を這うような低音になる。
「石を・・・・・・・」 しどろもどろ・・・・・・。
明らかに罪悪感を持ちながら、コッソリ持って行こうとしていたのだ。
「そこは、うちの父が崩れないように石を埋めて固めていたんですけど、崩れたらどうしてくれるんです? やっていることが恥ずかしくないんですか? 盗みと同じじゃないですか!」

盗人はバツが悪そうにうなづきながら、黙って立ち去ろうとする。
「二度と近付かないでください!」
私は念を押したのだが、あれから1年以上はたっただろうか・・・・・・。
奴はほとぼりが冷めたと思ったのか、今度は明日葉を取りに来ていた。

法律的には、ウチの土地ではないから何も言えない。
しかし前回に引き続き、山づたいにウチの近辺に出没されるのは、非常に気持ちが悪い。
私がジッと目を離さずに見ていると、一度ハッとこちらを見た。
前回石を盗まれたこともあるから、むやみに明日葉を採られるのは我慢がならない。
「何してるんです?」
盗人は黙って何も言わない。
「ウチの父が種を撒いて、明日葉が出ているんですよ。」

だから、どうだ? という話なのは、こちらも理解しているのだ。別に、他の人には採らせない、などというつもりもない。 しかし、石盗みの奴だけは別だ。 許せない。

私の体からは殺気が漂っていたに違いない。
最近は、猟銃で撃たれたり、刺されたり、ということが普通に起きてしまう時代だから、私も言葉には注意しなければ、とは思っている。
だからこそ、言葉を発する時には、ある種「命がけ」みたいな覚悟を心の片隅に抱え、その気迫が相手に伝わるのだろうと思う。

盗人は、のそりのそりと私を遠巻きにするようにフェンス際に出てきて、物色しながら去って行った。

いつもならデジカメをポケットに入れているのに、その時に限って机の所に置きっぱなしにしていたことを後悔した。

くっ・・・・・・、盗人の証拠写真を撮ってやればよかった・・・・・・。

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その後、私は宮守に電話をすると、マモル君が出た。
「ちょっと、聞いてくれる?」
といって、私が憤って話すと、案の定
「そりゃあ、ウチの土地じゃないから何にも言えないさ」
といいながら、実際にその現場に直面していないから、余裕のよっちゃんで大笑いされた。


そして、その後、私も何となく考えたのだけど、・・・・・・・
「法律」になっていなくても、“良心” という善悪の裁判官が誰の心の中にもいるはずなのだ。
かつての日本には、それが常識的に存在していたと思うのだ。
それが、今はすべて「法律」で定められていなければ通用しない、ということが多くなった。

例えば、ある家の庭に見事なバラが咲いていた。
そのバラの数本が、フェンスを越えて道に首を出して咲いていた時、その家の敷地はフェンスの内側だから、道に出て咲いていた花は切っても良い?
みかんや柿など、果物の木の場合は?


両親が住んでいる所では、先日も書いた通り、タラの苗木が折られたり、芽が出た時などは
「他人の敷地もオラのもの」感覚で、枝ごと採って行く人もいるらしい。

田舎もんはショーガナイ。・・・・・
と思ったが、「田舎もん」というのは、田舎にすんでいるから言うのではない。

感性が鈍い、垢抜けないということだ。
と私は思っている。・・・・・・
by anrianan | 2008-04-12 19:48 | ■家庭菜園
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