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知的中年になるための時代小説
ここのところ、キネシオロジーの感動レポートが続いていたが、
今回は、久しぶりに「読書感想文」を書きたいと思う。


時代小説を読むようになったのは昨年からである。
ある新聞に「知的なオヤジは時代小説を好む」と載っていた。 ということは、
昨年あたりから私は「知的オヤジ」の仲間入りをしたことになるのだろうか。

主に江戸時代のものが多いが、読むにつれて「知的オヤジの気持ち」が分かるような気がしてきた。
江戸時代はなんとも楽しい。人情があるし、義理や忠誠心がバリバリに生きているし、男も今の日本男児よりもよっぽど男気があってタフな感じがする。
身体もきっと締まっていて「シャモ」のようだったんじゃないか、と想像する。


そもそも、その「知的オヤジ」の世界に私を引きずり込んだのは稲葉稔氏の作品である。(左のリンク参照)
それ以来、読んでみたいと思う作家が芋づる式に増えている。
どれだけ時代小説に散財しているかしれない。でも、やめられない止まらない・・・・・・♪(カッパエビセン)

知的中年になるための時代小説_d0046294_1014763.jpg新刊の『うろこ雲』(光文社文庫 稲葉稔著)は、発売一週間で5000部の増刷となったそうだ。
これは「研ぎ師 人情始末」のシリーズ三冊目になる。
最近知ったのだが、主人公の“荒金菊之助”はこの作家が「オトーサン」と慕っていた近所のお年寄りの名前だったということである。
「だった」と過去形なのは、最近この菊之助さんがお国替えをされた。

「増刷は、このオトーサンからのプレゼントだ」
と作者は述べているが、きっとそうに違いない・・・・・・・。





ということで、ようやく本題。

主人公の荒金菊之助はもともとは侍であった。
それが今は長屋で「研ぎ師」をしている。
しかし、家や身分がきっちり区分けされていたこの時代は、どの身分に生まれたかで教育が違うならば、身につく「品格」も明らかに違っていたようだ。
この菊之助からあまり物欲が感じられない。
金や名誉よりも気楽にのんびり暮らしていてぇんだ・・・・・という声が聞こえてくるような気がする。

正直者や弱いものが、腹黒いヤツらに苦しめられているのをほっておけない質(タチ)で、南町奉行所臨時廻り同心である従兄弟の横山秀蔵からも内心頼りにされている菊之助は、いつも事件に巻き込まれる。というより、事件が寄って来る。
仕事のできる人間のところには仕事があつまる、というところか。


個人的には、従兄弟の横山秀蔵に興味が引かれる。
“涼しげな目を細め、剃りたての顎をつるりとなで黒羽織の袖をひらりと返して、土間に立った。すらりと背が高いので・・・・・・”
という描写を読んだだけでも食指はそそられてしまうよねぇ? (笑)
(しかし、こういう男に惚れると痛い思いをするんだよなぁ・・・・・)
なんて、あさってなことを考えながら読むのだが、泥沼の中を歩腹前進していくような菊之助が、やっぱり最後にはカッコ良く思えるのだ。

菊之助が密かに思いを寄せるのは「お志津さん」である。
お志津は同じ長屋で(ただし日当たりの良い棟だが)、子どもたちに手習いを教えている。
今のところ、お志津のチラリと覗く白い足首に心をときめかせる菊之助だが、一度は一緒に「おいしいもの」を食べに行っており、お志津からは、
「また行きたいですわ」
と誘われている。(♪)
これもなんだか希望の光が感じられて楽しいのだ。

  か~っ! 羨ましいねぇ~、菊やん! (こりゃ、オヤジのセリフだよ)



あれ? 内容については何も書いてないじゃんか。・・・・・・ (^.^;)

ま、犯人を追っていく話だからさ、タネ明かししちゃったら面白くないやね。
ただちょっと触れておくと、今回の面白いところは現代にもあるような詐欺事件を江戸物で扱っていることかな。
しかも「シワもなくなってつるつるのお肌になる化粧品“若美肌保水”」で稼ごうとする多くの人が金を騙し取られる、っていうんだから。 まさに、すぐそこにありそうな事件だ。

“若美肌保水”なんてネーミング、よく考えるよ。 と感心しつつ、
これじゃ買っちゃうよなぁ・・・・・・。 (え? 買わない?)(笑)


そうそう「化粧屋」と書いて「けわいや」と読むんだよ。 知ってた?
よく化粧が濃い女性を「ケバイ」っていうのはここから来ているのかなァ・・・・・? (違うか。)

もう一つ面白かったのが「後妻討ち」。
これは「うわなりうち」と読むのさ、感情を後に残さない江戸時代の生活の知恵らしい。
詳しくは、この本を読んでくだされ。(笑)


ま、とにかく今回も菊之助と次郎の掛け値無しの「熱い人情」と「貫く姿」がいい!
最後に、“夕陽に輝くうろこ雲が小判のようできれいだ”って二人で空を眺めるんだから。・・・
まさに、清濁によって「金」が美しくも醜くもなるという、人間の心を映し出すシーンのようだ。


  知的中年になるための一冊に、是非おすすめしますよ♪ (☆☆☆☆☆)


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by anrianan | 2006-10-29 06:16 | ■最近の一冊!
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