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一粒の・・・・・・
一粒の・・・・・・_d0046294_7525948.jpg母が野っぱらをずんずん歩いていく。
「どこ、行くのぉ~?!」
大きな声を出して聞くと、
「○×△@~☆、採らないと・・・・・・」

 ?????

 遠くて聞こえないよ。


一粒の・・・・・・_d0046294_753378.jpg
クローバーに敷き詰められた雑草地帯を歩き、私は母のもとへ。
「なに、採ってんの?」
「あずき」
「あずき? どれがあずき?」
「こぉれっ! これが、あずき!」

まるで
「知っらないのぉ? バカじゃないのぉ?!」
と言わんばかりの呆れたものいいである。
「・・・・・・・・」(だって、見たことないんだもん)

一粒の・・・・・・_d0046294_754320.jpg「この黒いやつがあずき?」
「そう!」
といわれて、ああ枝豆のようにサヤに入っているのねと思い、当たり前だと思う。

細いサヤを割って見ると、
「おぉ~! あずきだよ!」「へぇ~!」
と感動する私に、
「あずきっていったじゃ、ばかだね・・・・・・これがあずき!」
と得意げに、まるで4歳児に教えるように母は繰り返す。



「なんで、こんなに作ってるの? あずき屋さんをやるんですか?」
と、ニュースキャスターのような口調で私は聞く。
「・・・ったく、お父さんがこんなに作っちゃうんだよ」
「ここ一列だけでも充分じゃないの? これサヤ割るだけでも大変じゃない?」
「そぉ~なんだよ。少しでいい! って言っているのにさぁ。土地を開けておけないんだよ」
「こりゃ、大変だわ・・・・・・」
一粒の・・・・・・_d0046294_7544211.jpg



たまにこうやって収穫するものを見ていると、
「かまぼこが板をつけて海を泳いでいる」と思っている子ども並かもしれない、
と思うことが多々ある。
私は枝豆が大豆になることも知らなかったのだ。


基本的に、野菜も魚も動物も、食べるものは生きている段階から食べるまでを知らなきゃダメだな、と思う。
世の中「生」あるものを殺して「生」を貰っているんだから、その過程を知ることは大切なのじゃないか・・・・・・?

一粒の・・・・・・_d0046294_7551550.jpg

小さい時に、ご飯茶碗にご飯粒が残っていると父に叱られた。
「お百姓さんが一生懸命作っているんだぞ!」
叱られたのは怖かったけど、未だにその言葉が残って一粒も残せない。


これで、あずきも一粒たりとも見捨てることは出来なくなった。



一粒の・・・・・・_d0046294_7553350.jpg













                                        ※ざるの傍らで寝るクック
by anrianan | 2006-10-04 07:50 | ■岩手県宮守村
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