台風7号が通過し、バス停を降りて家まで歩く頃には雲の合間から月の光が洩れていた。
なんとも妖しげで魅惑的で、ちょっと危ないくらいに不思議な光を放っていた。
例えば、
世の中の大祓いが始まって、大地震や大洪水が起こる。
風が吹きまくり、雨も滝のように降って、家屋はもちろんビルも破壊されていく。
それは一昼夜続いて、多くの生命がこの世から消えていく。
そして、
美しかった街並みの風景は、泥沼の底のようになっている。
だけど、朝日がいつものように登り、世界を照らし、
夜になれば、こんなふうに静かな月の光が輝くのだ。
まるで何事もなかったかのように・・・・・・。
そうやって、多くの死や世の変貌を眺めてきたのだ、この月は・・・・・。
そう思うと、自分はほんとにちっぽけな存在で
「生きること」なんて一瞬なのだ、とつくづく感じる。
あなたとは、何回巡り合ってきているのだろうか・・・・・・。