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味噌の話
昨年同様、今年も味噌を作ろうかと思っていたが、冷静に考えてみると私は意外に味噌を食さない。
買ってきた味噌だって、いつまでもいつまでも冷蔵庫の中にあるし、もしかしたら残りの人生は、この手作り味噌で十分なのではないだろうか、というくらい。

なんとなく寂しい。
日本の食文化が消えていくようで、(確かに私はいずれ消えていくが)、せっかく健康に良いと世界的にも褒め称えられる日本の食卓が、現代病を引き起こす大きな要因になっている西洋食文化に食われてしまうようだ。
植物の世界も食の世界も、なぜ外来種は強いのだろう。・・・・・・

なんてことを考えながらも、子種を残さないF1種の私としては、せめて今生きている人生では、生まれ育った国の文化を楽しんでいこう、と人生の後半になって意識するようになった。
さてそうなると、さらに上の世代(大正や明治のころ)を知っている女性や、その頃の文化を香らせている女性に憧れるし、その人たちの知恵を学びたいと思ってしまう。

偶然はなくすべてが必然だというが、ある女性が話題にしていた料理本の著者の存在を知ってからまもなく、NHKでその著者を特集した番組を見ることになった。
(なんというタイミング!・・・・・・)
こうなると、もうその人の本を買わねば! という気になる。
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浜子さんというのは、芳子さんのお母さまですでに故人である。
明治37年(1904)生まれで、女学校を卒業して主婦を経たのち、料理研究家の草分けとして初期のテレビに出演するようになった。
この本は昭和47年(1972年)に柴田書店より出版されているが、私が購入したものは2009年に文化出版局から第一刷としてリニューアル出版されたもの。

料理のレシピ本というよりは、みそについての文化や知識、そして味噌を使った料理が載っている。
なによりも衝撃を受けたのは、文章が薫り高く、言霊の響きが美しい。日本語はこんなに上品で美しいのかと感動するし、その言葉の背景にある精神性の高さも感じられる。
同時に、いかに現代は総幼稚化現象の社会になってしまい、やたらと寿命が延びてはいるが、何とも希薄で下品な日本人になってしまったのだろう、とそんなふうに思った。
せめて私は同化せずに、少しでも芳しい気品を湛えていたころの日本文化を学び、身につけて今世を終わらせたいと思う気持ちが、こういう本や素晴らしい年上の女性たちとの出会いにつながっているような気がする。


さて、話を味噌の話に戻すが、この本のこの頁を見た時に、
(こうやって“ふくさみそ”を作りたい)
と思ったのだが、頭の中で描いていた図は、昆布で包んだ“昆布だしみそ”。
つまり、昆布をふくさのようにして味噌を包みたかったわけだ。
味噌の話_d0046294_15531765.jpg

そして京急ストアで、幅広の利尻昆布などを買い求め、包もうとして気がついた。
(昆布が固くて包めないじゃないか・・・・・・)
お水やお湯に漬ければ柔らかくなるとは思うものの、そしたら出汁が出てしまう。
ああ、なんてバカな私・・・・・・笑っちゃうよ。
これは老化ボケを心配というよりは、先天的にマヌケだ、と呆れてため息が出る。


そして、仕方がないので、のり弁方式に変更した。
つまり、味噌を敷いて、昆布を載せて、また味噌を敷いた上に昆布を乗せて・・・という、「のり段々弁当」だ。
味噌の話_d0046294_9114395.jpg

これを冷蔵庫にいれておけば、このままあと何年でも保存しておける。
年数が経てば経つほど出汁は味噌に染み込むだろうから、どんどんおいしくなるという寸法だ。 (・・・・かな?)





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by anrianan | 2013-01-30 09:09 | ■最近の一冊!
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