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クックの大脱走
17日の日曜日、お盆の最終日に事件は起きた。
岩手の両親が孫のように可愛がっているクックが、行方不明になったのだ。

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おナカさんの証言を再現してみよう。

お母さんが6時半頃、ご飯をやりに行った時はいたんだよ。
それで暗くなって、家に連れてこようと思ったらいないじゃないの! 7時半頃だったかな・・・・・・。

もう、さぁ・・・・・・、お父さんもお母さんも、家の周りや山の方とか探しても見つからなくて。・・・
つないでいた紐が切れちゃって、首輪から2mくらい紐がついているんだよ。
その紐が、山に入って枝に絡まったりして、動けなくなっているんじゃないかって心配でさぁ。
犬って、そうなって動けなくなると、「わんわん!」って吠えないらしいんだよ。それで衰弱して死んでいくって聞いたからさぁ・・・・・。


おナカさんは、その時の興奮を逐一報告したいらしく、話を引っ張る引っ張る。(笑)
証言をそのまま再現していると、本が1冊書けるくらいに長くなるので、ここら辺で端折って説明しよう。

クックの大脱走_d0046294_05234.jpgたぶん、何かの拍子でつないである紐が切れたクックは、この時とばかりに冒険をしたかったのだろう。
おナカさんは心配のあまり、帰ってくるクックを待って夜の10時から12時頃まで、庭に止めてある車の中で待った。
が、当然その晩は戻ってこない。

心配の要因は、山の中で動けなくなっているのではないか、クマなどに襲われてはいないか、ということもあったけど、その前日にお風呂に入れたことが不吉な予兆に思えてならなかったのだ。

「風邪をひくからダメ」
といって滅多にお風呂に入れないおナカさんは、毎日ブラッシングをしているから大丈夫、と言い張った。
私はせめて週に1回はお風呂に入れて綺麗にするように、と何度も言った。
おナカさんは、クックがお風呂を嫌がって暴れるので、どうやらそれが億劫になる原因らしかった。
ところが、16日に珍しくお風呂に入れた。
「真っ白で、ふわふわで、もう~! それこそ可愛くなってさぁ・・・・・・」
になったらしい。そして、17日の夕刻に居なくなった。

「お盆の最終日だから、先祖のお見送りをしたんじゃないの?」
と、思った事を口にした私。
おナカさんは、亡くなった祖母に連いて行っちゃったと思ったらしい。

「おまえ、クックを真っ白できれいにしてあげてたから良かったじゃ」
とマモル君は慰めたらしいが・・・・・・。(「父ちゃん、そうじゃないってば・・・・・。」(笑)

マモル君(父)は亡き祖母に手を合わせたが、おナカさんは、亡くなっている自分の母に祈ることはせず、
「神さまに心の中で、一心に祈ったよ」と言う。
「だって、亡くなった人に“お願い”するのは、良くないんだって。」
それ、私が教えてあげたんだよ・・・・・・・。


クックの大脱走_d0046294_044072.jpgとにかく、一夜明けたが戻ってこない。
二人とも食欲がなくなり、おナカさんはいかに気落ちしたか、とその時の気持ちを延々と伝える。(笑)
花巻までダンス教室に行く日だったが (長年二人は、社交ダンスをやっているのだ) おナカさんは行く気分ではなかった。しかし、マモル君に「こういう時は行って来い」と言われ、車のハンドルを握りながらクックの無事を祈り続けて、ダンス教室へ到着。

実は、クックはダンス教室の先生からもらったのだ。
「今度生まれたらあげようか」
「うん、じゃ、くれる?」
と約束して、まもなく生まれてきたのがクック。
目が開いてすぐに来たクックは、まだ立つこともできず、両手に乗ってしまうほどの小さなふわふわした白い毛玉のようだった。

ダンスの先生は、おナカさんに声をかけた。
「なんだか今日は元気がないじゃない。」
おナカさんは、心配ごとを伝える口火を切ってもらったわけだ。
「先生、今日はもう・・・すっごく悲しいことがあるんだよ。」
「クックが死んだの?」
「死んだんじゃないけどさ、居なくなっちゃったんだよ。」
「大丈夫だよ、ウチのあのバカムックも3日間居なくなったことがあったけど、戻ってきたんだから。クックはもっと頭がいいから、絶対戻ってくるよ」

クックには2匹の姉弟がいる。不細工で(?)愛嬌のある弟がムックである。
(※ちなみに、クックの美母は亡くなりました。放し飼いにされていた美母は、昼間は自由に歩き回り、夕方になると家に戻ってくる生活でしたが、ある日行き方知れずとなりました。死ぬ姿を見せたくないために、居なくなる犬や猫もいるといわれますが・・・・・・。)

どうやってクックが“頭がいい”と判断したのかは分からないが(笑)、少しはおナカさんの気休めにはなった。
「帰ったら戻ってきていた、なんてことがあるもんだよ」
と励まされて教室を出ると、クックを捜索していた知り合いの人から電話。
クックが見つかったのだ。

家からさほど離れていない銀杏の樹の下で、白い犬が横になっていると通報が入ったらしい。
白い犬といえば、あの辺りでは「クックちゃん」と有名である。
隣のおばさんが、クックが家にいるかどうかと聞きに来てくれて、捜索は解決に向かった。

クックの大脱走_d0046294_06960.jpg


どのような体験をしてきたのか、想像することしかできないが、その姿は見るも無残に汚れきった姿で戻ってきた。
おナカさんの言葉を借りれば、
「デッロデロの姿で、顔の辺りも泥だか油だか、きったなくて触れないくらいだったよ」
となる。で、どんな顔して戻ってきたの? と聞くと、
「いつもなら、お父さんに“ごめんちゃん”(手を出してちょーだい、とお手のしぐさ) をするんだけど、今はだいぶ大人になったからさぁ。申し訳ない! って顔でお父さんを見て、尻尾も垂れたまんまだよ」
らしい。

その後、とりあえず手足を洗ってもらい、泥のように眠り続けたクック。
いつもなら居間のソファがクックのベッドなのだが、その日の夜は「車で寝たい」というのだそうだ。
車の後部座席に布団を敷いてあげると、そこもクックのベッドになる。
独り静かに過ごしたい時には車に行きたがる、というのはおナカさんの言い分だけど、そうなのかもしれない、と私も思う。
翌朝になっても、ひたすら車で寝ていたがり、日が高く昇ってようやく起き出したのだった。


私はクックの話を聞きながら、自分がアメリカから帰国した時の事を思い出していた。
あらん限りの冒険(挑戦?)をして、心がぼろぼろになって、疲労困憊で飛行機の窓から雲の海を眺めたんだよなぁ。
「私のこれからは、余生だ・・・・・・」
と思ったんだけど、その後2回くらいそういう思いをしたから、まぁ、懲りないやつというのか・・・・・・、3生分を生きたというのか・・・・・・。

だから、クックの気持ちは何となく分かるような気がするんだよね。
勝手な思い込みなんだろうけどさ。


でも、どうやらウチの両親も私とダブらせているようで、
「まったく・・・・・・、ウチの娘たちは・・・・・・。」
と、マモル君がつぶやいたらしいのさ。
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娘たちって、誰と誰?
私とクックかい? ワンコのクックとあたしゃ、同格かい?
なんて思いながらも、クックは私にとっても「離れて暮らす娘」。


ほんとに・・・・・・、
動物って、不思議な力を持ってるよねぇ・・・・・・。
とりあえず、生きて戻ってきてくれて、ほんとによかったよ。 ホッ!



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by anrianan | 2008-08-22 00:06 | ■ペット・動物
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