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デビュー
毎年12月1日が来ると、私は19歳になった年を思い出す。
就職して社会人デビューした日だ。

私は高校を卒業して、合格すると言われていた会社の最終で落ちた。
あっさり就職浪人となり、人生の初挫折となった。
父は義務教育は終わったのだから、余分な金は出さないという。
途方に暮れた私と一緒に心を悩ませ、あちこち走りまわってくれたのは母だった。
そして、職業訓練校ならば授業料がかからないという情報を持ってきた。

私は「英語事務科」というコースに入った。
当時は英文タイプの時代である。
ピアノをやってきた私は指の力も均等に強く、速く動いた。
タイプの検定試験は、1分間に打つワード数をカウントするが、1ワードのミスタイプで10ワードがマイナスされる。
しかも、パソコンのように「後退」することができない。
なるべく速く打ちながら、ミスタイプをしないで打つことが、結局点数を稼げる。
そこでは他に、簿記、英文簿記、商業英語などもやったし、資格も取ったはずだが、内容はまったく覚えていない。

夏休みに東京の知り合いの家に3日間泊めてもらい、都内の職業安定所を巡った。
就職活動のつもりだったが、そこでの募集要項を見て、いかに世間知らずであったかを知らされた。
思ったよりも、労働条件はずっと低かった。
しかし、その時の経験は世間の「相場」を知ることになったのでよかった。

10月か11月だったと思う。
朝日新聞の就職募集欄に、バツグンに条件が良い仕事を見つけた。

【勤務:9:00~5:15、土日祝休み、初任給:18万以上(ここら辺は定かではない)、 
年次有給休暇:20日以上、ボーナス夏冬2回、各3.65か月、福利厚生各種完備、・・・・・ 
募集:女子若干名】

どうだ、凄くないか?
会社が合併するために、それに伴う採用だと書いてある。
現在銀座にある会社は移転するので、新橋本社勤務になるという。

100名の応募者が来た。
一次試験に合格した。

今でも覚えている面接だが、部屋に入ると7-8名のオジサンズがズラッと並んで座っていた。
一人のオジサマが私に質問をした。
「経理なんか、どうですか?」
「簿記などもやりましたが、・・・・・あまり好きではありません」
別のオジサマが聞く。
「では、どういう仕事がしたいですか?」
「できれば、英語を使って貿易などのような仕事がしたいです!」
(「貿易」のこともあまり知らず、イメージだけで答えているという、非常に夢子である)
「そうですか。・・・・・ありがとうございます」

7名の合格者の中に入った。
タイピングの速さと元気が幸いしたのではないか、と思っている。
高卒は私ともう一人、あとの5人は短大あるいは大卒だった。

そして私は、経理部の配属だった。
100人からの大所帯をまとめる部長の部屋に連れていかれると、
「経理部なんか、どうですか?」
と私に質問をしたオジサマが、経理部長だったっ!・・・・・・・・・

え~っ!
(経理は嫌だっていったのにぃ~)
と心では思ったが、採用を取り消されるのも嫌だから非常に複雑な思いだった。
しかし、経理部といっても実際には伝票を扱うわけでもなく、内部監査部門の仕事だった。
もちろん「監査」なんて、な~んにも分からない。
(コピー機の使い方さえ分からなかったんだから!) ←エバるようなことではない。

「オフィス」という言葉がぴったりの、効率的ですべてに計算されたアメリカ式配置。
監査の内容は20冊以上に及ぶ「マニュアル」に記載され、それを調べながら伝票をチェックする。
“石を投げれば、慶応か早稲田に当たる”
と言われたスーツを来た男性たちは、それまでの私の環境には存在していなかった。
(へぇ~、テレビドラマの世界だ・・・・・・)
横須賀から都会に出て行った山猿のような私は、ただただ目の前に展開する光景に驚いていた。


それが、12月1日だった。





その合格が決まるまで、それまでに味わったこともないほど、みじめな自分を抱えていた。
だけど、
「必ず日は昇るのだ!」
と感じた経験だった。
それを、毎年思い出すのだ。
特にこの数年は世の中に絶望し、生きることに何の意味も感じなくなりつつあったから、あの時の感動を懐かしむ老後のようになってしまっている。

今朝目が覚めて、当時のことをゆらゆらと思い出し、ふとそのことを感じた。


そして、
実は昨日、仕事のオファーがあった。
まだ現実に始まらないと、どこかで信じられないような人間になってしまったが、ちょっと楽しくなるような盛りだくさんの内容だった。



さて、この先私の人生は、このとっ散らかったまま終焉を迎えるのか、はたまた、
“本当の花” が開くのか・・・・・・・・。



   そうそう、愛子さまのお誕生日でもありましたね。
     「お健やかに・・・・・(愛子さまも、日本も、・・・・・)」
                         とお祈りいたします。
by anrianan | 2007-12-01 12:42 | ■とりあえず日記
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