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閉心術
『ハリー・ポッター』の中に出てくる「閉心術」が、今四六時中頭の中に浮かんでいる。

ハリーは「閉心術」をマスターしていないため、スネイプに勝てない。
この「閉心術」とは、いわゆるポーカーフェイスのことであったり、平常心であることなのだと思う。
すぐにカッとなる、すぐにムカツク、すぐに顔に表れる、というのは損することが多いよ、
と教えられているような気がして、私にとっては耳が痛い。(読書だから、目が痛い?)

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しかし、ではポーカーフェイスの人間は素晴らしいのか? と問われれば、これも一概には言えまい。
単に「表現力が無い」だけの人間だっているし、本当に悟りを開いている(?)人間だっているだろう。
要は、「平常心」に見えてもそうでない人とそうである人と2種類いると思うのだ。




ただ、この間TV番組で「人間関係力テスト」みたいなものをやっていたなぁ。
私は途中からしか見ることが出来なかったんだけど、なんと個人成績の1位と2位は東大生だった。
(へぇ~、天は二物を与えてるじゃないか!)
と関心したけど、さらに見た目もそこそこにイケテたら、天は三物か四物を与えているわけだ。



その時にふと思い出したのが、十数年前に旅をした中国だった。
父が西安の外国語大学に留学していた時に、旅費を全部出してあげると言われて、嫌いな中国に行ってみることにしたのだ。
なぜ、中国が嫌いなのか? というのは、自分でもよく分からない。
たぶん、前世での経験が悲惨だったのだろう・・・・?(笑)

とにかく、自分の懐が痛まないという「欲」にくらみ、『父をたずねて三千里』 。
そこで生まれて初めての、しかも自分も唖然とするほどの「怒り」を爆発させるという事件が起きた。

今思い出すと笑っちゃうんだけど、
私が、あの
「なめちゃいかんぜよっ!」
と啖呵きった夏目雅子みたいに(かなり古いねぇ)怒鳴った時、ワーワー押しかけていた中国人が、まるで沖へ退いて行くさざ波のように、ザザザザッといっせいに後退したんだよね。まるで映画のようにさ。
それほど “危険な女”に見えたんかいな?・・・・・・



なぜ爆発したのか?
そりゃあ、彼らは山猿のようにうるさい、人の話を聞かない、はしゃぐ、さわぐ、飛行機の中までも・・・、
ということが続いた10日間の最後の日に、ぶち切れちゃったんだね。 いやはや・・・・・

てことで、要するに
私はがさつな人とか、人への配慮がないとか、土足でズカズカと入り込まれて来るようなことが嫌いなのだ、と年月とともに分かってきた。

そして、大方の中国人がそういう感じに思えたのだけど、父が学んでいた大学の教授たち(といっても、20代や30代の若い世代もいた)知識人は、そうではない。
要するに、怒鳴らないし物腰が静かなのだ。

私を西安観光に案内してくれた金さんは、すらりとした女性だった。
私は中国語が出来ないので、もっぱらやりとりは英語だったが、彼女の思慮深さのようなものは、国籍に関係なく非常に好意が持てた。
どの観光先でも、パパラッチのように群がってくる彼らの前にじっと立ち、いっせいにわめき散らしている(私にはそう見えた)彼らの言葉を聴いて、
「xO・α△~X‘▼※*・・・・」
と、一人を指差して一言。
彼のタクシーに乗ることになった。


なんだかとってもカッコ良かったんだよね。
気取っている人でもないし、女として人間として、お互いにいろいろ話し合った。
彼女に尊敬も感じたし、日本人が失ってしまった何か凛としたものを持っているような気がした。

その後数年して、彼女は子供を国に置いて日本にやってきた。留学である。
中国は一人っ子政策だから、当然一人しか子供を持つことが出来ない。
その大切な子を一人置いて、彼女はより豊かな暮らしを求めて、向学心に満ちてやってきたに違いない。
昔、ごく僅かな日本人がアメリカに留学していたように。

一度ウチに遊びにきたことがあった。
真っ直ぐだった髪にウェーブをかけ、都会的に垢抜けていた。
確か名古屋に滞在していたはずだ・・・・・。
今どうしているのだろう? 父は何か情報を知っているだろうか?



その時に知り合った知識階級の中国人は、きちんと話が出来る人たちばかりだった。
そして、やたらに怒鳴らない、感情を露骨に出さない、干渉しない。
東西問わず人数の割合に違いはあれど、賢い人はそうなのだ。
つくづくその旅で感じ、今再び思い出した。


そして、中国よりも一足先に経済大国として世界に君臨した日本人はどうか?

「日本人は」なんて偉そうにいう前に、私はどうよ。・・・・・・
                                   すんまへん・・・・・



結局、東大生の話といい、中国の知識人の話といい、総合して考えてみると、本当に教養があり品格が備わっている人間というのは、「閉心術」を身につけている人間ということなのではないだろうか・・・・・。 という結果に達している私。





               「閉心術」をマスターせねばならない!
by anrianan | 2007-02-16 16:25 | ■とりあえず日記
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