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敗血症
5月21日に救急車で横須賀共済病院に運ばれたおナカさんは、その日の夜に即入院となりました。
後になって担当医から知らされたことですが、この夜、母は助からないと思われていたそうです。
それほどに、採血の結果が近年稀に見る酷さであったと。
そのことを当時は知らない私でしたが、毎日おナカさんの顔を見に行こう、ということだけは強く決意していました。

翌22日病室に行くと、私の顔を見るなりおナカさんは泣き出しました。
心配かけて悪いという気持ちと、私の顔を見て安心したという気持ちからだったようです。
そういう取り乱した姿を見たことがなかったので、それだけでも容体がただならないものであるように感じました。

四人部屋で廊下から入ったすぐ左側。
おナカさんの両手には大きなミトンがつけられ、両手首はベッドの枠に固定されていました。ベッドの周囲にカーテンが引かれ、この僅かな空間で、太陽の光も空を眺めることなく24時間を繰り返すのかと思うと、それだけで息苦しく感じました。
尿カテーテルが装着されており、心電図や心拍数を計測するためのコードが体のあちこちに貼りついています。
その他にも、こんなものがぶら下がっていたり、
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これは栄養剤かな・・・・・・?
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こんなものもありました。
何がどういう薬なのかまったく知識がないので、とにかく毎日写真を撮ることで記録に残そうと思っていました。
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輸血までされているっ・・・・・・(と、うろたえる私)
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担当医は、救急車で運ばれてきた時に救急外来の担当だった堤先生。専門は血液内科です。
病名は「敗血症」。 (※sepsis--感染に対する制御不能な生体反応に起因する生命を脅かすような臓器障害のこと--wikipediaより)
「血液の中に、ばい菌がいーっぱいいるので抗生物質でやっつけていきます」
との説明を受け、
「何が原因ですか?」
と尋ねると、
「まだ原因ははっきりしていませんが、とにかく体中にばい菌がいっぱいいるので減らすことが先です。 原因よりも結果オーライというところもあるので」
ふむ・・・確かに、結果がよければ全てよしだな。

その後、中心静脈カテーテルというものを右足の付け根に装着しましたが、衛生上を考えて右の首に付け替えると告げられ、しばらくすると今度は左側に付け替えられました。このカテーテルというものは、点滴よりも効率よく薬を体内に注入していけるのだそうです。

さすが現代医学は素晴らしい! 
というほどに、まもなくおナカさんの状態が落ち着き、朦朧としていた意識もしっかりとしてきました。
ベッドの背を少し上げるだけで「痛い、痛い!」と言っていた原因が突き止められ、痛みが消えました。
28年ほど前に左ひざ粉砕骨折をしているのですが、その左ひざに膿が溜まり、その膿が腰や背中に回っていたそうです。
担当医が何気なく膝を触ったときに、やけに柔らかいと思ったそうで、整形外科の先生に頼んでエコーで見たら膿が溜まっており、菌の温床になっていたのだと説明してくれました。

入院直前の整形外科医院で、少し触るだけでも痛がるおナカさんを3人がかりでレントゲン台に乗せて膝の写真も撮ったけれど、膿までは写らないということですね。その時、触診をしたかどうか記憶にありませんが、今回に関しては、整形外科は大失敗でした。

ちょうど私が病室を訪れているときに先生がいらしたことを覚えています。
「原因がわかりましたよ!」
と教えてくれました。その時のおナカさんは、失っていた生きる気力を一気に取り戻したように
「あぁ・・・・・・! ありがとうございます!」
泣きそうになっていました。

翌日には膝にチューブが入っており、膿はほとんど出なくなっていたように記憶します。
背中や腰の痛みがなくなると、相変わらず認知症なのか天然ボケなのか分からないトンチンカンなナカコ節も復活し、ほんとに安堵しました。

7月3日には、幼少のころずっと一緒だった4人の幼なじみが、遠くからお見舞いにきてくれました。
「あっ!」
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うれしさのあまり半泣きになっているおナカさんの目の前に、4人のお友だちが次々と現れます。
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他にも時間を作って足を運んでくださった方々、何度も会いに来てくださった方、多くの励ましをいただきました。
お陰でこんな元気に。

「オカーサン、なんかポーズ作って!」
「よーっ!」  …ダチョウクラブか???(^_^;)
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7月10日には、
「天ぷら蕎麦が食べたい」
というので、近くの手打ちそば屋でテイクアウトをお願いし、病室まで走って持っていきました。
手指の動きが悪くなっており、箸はにぎり箸。ソバを口に入れますが、口の端からソバがぶら下がっているような、とても見られた姿じゃありませんでしたが、それでも食べられるようになったことに誰もが大喜びでした。
その時、ソバを3分の2ほど平らげ、小さなカボチャの天ぷらを食べ、
「あ~、おいしいっ! ずーっとソバが食べたい、ソバが食べたいっと思ってたんだぁ!」
「持つべきものは娘だね」
「うんっ♪」
入院して6週間、日に日に良くなっていくようで、毎日見舞いに通った甲斐があったと喜びを感じていました。

ところが、その夜。
下血があり、マットに染みるほどベッドが真っ赤に染まったのだと告げられました。
一気に奈落の底に突き落とされた気分です。
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ちょうど日曜日で、1時からの面会時間に合わせて行った時でした。
病室の前まで行くと、なにやら慌ただしく看護師さんたちが動き回っています。 そして、看護師さんの一人が
「これから個室に移動します」
「え? どうしたんですか?」
「先生からお話があると思います」
えぇーーーーっ!  ぞっとする怖さを感じながら、おナカさんのところに行くと、
「菌が増えたんだってぇ・・・」
私に助けを求めるような目で、泣き出さんばかり。
とっさに、大丈夫! 大丈夫だから! 私も一緒にいるから! ちゃんと先生に聞くから大丈夫だよ!
そう言いながら個室に運ばれるおナカさんに付き添い、その後、担当医が出張中とのことで代わりの先生が説明にやってきました。

昨夜の下血は、腸が破れたものなのかどうか調べること。
もし腸が破れていたら、輸血してもしょうがないので輸血をしないこと。
今は血圧が正常だけど、もし下がった場合、心臓にも影響があること。・・・・・・・止まるかもしれないこと。

何も考えられず、とにかく今夜おナカさんに付き添うため、一度家に帰って出直してくることにしました。

お母さんが死ぬ?


実感が湧かないのに後から後から涙が流れ落ちてきます。
どうしたらいいのだろう・・・頭の中で考えが何も浮かばず、ただひたすら
「絶対に死んだらいやだ! 絶対に死なせない!」
天の神さまに挑戦状を叩きつけるような、憤りと執念が地の底から湧き上がってくるようでした。


なるべくクックと一緒にいるようにしていた私は、この時もクックを車に乗せていました。
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この時の別名「エリザベス・クック」。首に付けている水色のものはエリザベスカラーと呼ばれるもので、治療中の箇所を噛んだり引っ掻いたりしないために付けます。
クックもストレスを感じていたのでしょうか。 次々と皮膚にトラブルを抱え、一番ひどかったのはコレです。
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血だらけになっている姿を見た時には、母の危篤を知らされたと同じくらい動揺しました。

とにかく、母下血の夜、クックは車で一晩明かすことになります。
私はおナカさんに付き添いながら、夜中に2度ほどクックのようすを見に駐車場へ。
伏せて寝ているクックの姿にホッとしながら、再びおナカさんの傍らで祈る長い夜を過ごしました。

それから丸2日間昏睡状態のまま、時間だけが虚しく過ぎて行きました……


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by anrianan | 2016-11-24 06:51 | ■とりあえず日記 | Comments(2)
Commented at 2016-11-24 17:45
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by anrianan at 2016-11-25 13:23
★カギコメさま、
お久しぶりです。励ましのコメントありがとうございます。
父が亡くなってから生活環境の変化が続き、年のせいもあるのか、変化に対応していくことがキツクなっています。日本は高齢化社会であり核家族なので、これから益々介護の問題が高まると思います。国が根本的にシステムを組み立て直さないと、多くの老人は皆姥捨て山状態になってしまうのではないか、とつくづく感じています…
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