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軽井沢の旅 -2-
翌日目覚めて窓の外を見ると、童話の世界に入り込んだような気がしました。

バンガローは、寝室のほかに、玄関から入るとすぐにリビングダイニングのような空間があります。
キッチンらしきところに冷蔵庫は設置されていますが、ガスコンロはありません。
それでもこのリビングダイニング、スペースが少ない割には、ことのほか居心地が良いのです。
木のぬくもりに溢れていることとオレンジ色の電灯の温かさ、が大きな理由でしょうか・・・。
そして、この窓!
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まるで、ワイドスクリーンで癒しの動画でも見ているような気分になります。
朝陽が木漏れ日となってちらちらと降り注いでいるさまを、ぼーっと見ながら
「気持ちいいねぇ・・・・・・」。

ふと目の前のワイングラスを見て、昨夜は飲まずに寝てしまったことを思い出しました。
二人とも疲れが出たのか、お風呂から上がってビールを飲んで、そのまま睡魔に襲われたのです。
ああ・・・、残念。・・・・・
しかしその分、いつもより早く目が覚めた(?)のだし、朝の散歩をすることにしました。

外に出ると、塵やごみが空気中からすっかり払いのけられて、透き通るような水色が頭の上いっぱいに広がっていました。そこに出来たてのわた飴のような薄い雲がかかり、これまた惚けたように上を見たまま。 おいしそう・・・。
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バンガローの間の小路を縫い歩き、目の前に広がる光景はまたしても
「フィンドホーンみたい・・・・・・」。
はるか昔の思い出がふつふつと小さな気泡となって、胸の中に湧き上がってくるようです。
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もっとも私がスコットランドにいた頃は真冬で、例外の大雪となり、外気はマイナス20℃。
身も心も凍るような雪景色から比べると、今立っているここに雪はなく、温かく、身も心も光に包まれています。なのに、なぜこんなにフィンドホーンを思い出すのか不思議でたまりませんでした。
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懐かしさや切なさや愛おしさといったさまざまな思いと一緒に、周囲に満ちている澄んだ空気をいっぱい吸い込み、それでもまだ足りない、もっと吸っておこう・・・と何度も深呼吸を繰り返しました。
ああ・・・・もっとここにいたい・・・・。

外国映画で新婚旅行に旅立つカップルが、車にたくさんの空き缶をつないでガラガラと走り去っていきますが、ええ、わたしたちの車には未練という名の空き缶が、ガラガラと鳴り響いていました。
それでも、やがて見えてきた山々が連なる姿を目にすると、未練はどこかに吹き飛び、その神々しい姿に夢中。
関東平野に住む私にとって、山の峰が連なるさまは、とても珍しく感じるのです。
ああ・・・、九州もこんな感じだったなぁ。
以前一度だけ訪れた九州を思い出し、また両親が東北に移住して、初めて訪れた時に新幹線から見た山並みも思い出しました。
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その山に向かって、というわけではないのですが、なんだか人里を離れた山道に入りました。
「昼食はいっぱい食べるから」
というお友だちに任せたランチ。
(まさか、道を間違えてないだろうなぁ・・・・・・)
という思いは言葉にせず、所々にある“あぜみち山荘”という看板に、さらに不安は募ります。
だって「あぜみち山荘」なんて、「山」の字がなかったら、なんかアパートの名前みたいじゃないですか。

あぜみち山荘と書かれた下に、小さく書かれている椎茸の「茸」の字が見えて、
(きのこ料理かぁ・・・・・・)
と見当がつきました。
まったく駐車場らしくない所に車を止めるので、きっと山小屋風の“大人の隠れ家”みたいな場所なのだろうなどと、どんどん想像が膨らみます。
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なんだ坂こんな坂をハァハァいいながら登り、
(ああ、やっとついたかぁ・・・・・・)。
なんだかパッとしない看板を見上げた時、ようやく漢字とその言葉の意味が、頭の中でつながりました。
「茸」の字の前に、「松」がある?!・・・・・え! 松・・・と・・・椎茸? ・・・じゃなくて、松、と茸?!
  きゃ~ぁぁぁぁぁ・・・・・・!!!
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「だって、松茸を食べたことないって言ってたでしょ」
ええ、ええ、そうなのです。生まれてこの方、松茸という物体を噛んだことがありません。
インスタントの“松茸のお吸い物”なんていう、顆粒をお湯で溶かして飲んだことはありますけどね。
あと、“これ、松茸?”なんていうくらいに細かくみじん切りされた物が入っているゼリー寄せ、とかもありますけどね。
このキノコの形そのままの姿焼きとかは、自信を持って
「今までかつて、食べたことがありません!」
と誓えます。(別に誓うようなことでもありませんが)。

とにかく、松茸のためなら、なんだ坂こんな坂の上に、さらに階段が天に向かって伸びていようとも、
「こうなったら天まで昇ってやるわい!」
てな勢いで、辿り着きました。・・・・・・ゼイゼイ・・・・・・(苦あれば楽ありだわ・・・)←と言い聞かせる
それにしても、なんだか海の家みたいな佇まい。・・・
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でも、この暖簾。立派に料亭(?)のような雰囲気を出しています。
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そして暖簾をくぐれば、見てみぃ~っ! と言わんばかりの松茸が山盛り。直売所です。
ここのおばちゃんが面白かった。値切る客との交渉は、まるで置き屋の遣り手婆のよう。かと思えば、誰彼となくカリカリ梅の焼酎漬けを食べさせる。
「アタシが漬けたの。おいしいでしょっ!」
世の中すべての人とお友だちのような口ぶりで、とにかく口と手がよく動きます。
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基本的に、ここは予約制です。
けれど必ず、ここに名前を書かされます。
「予約したんですけど・・・・・・」
ここに来た誰もが、このフレーズを口にしていました。
「皆さん、名前を書いていただいています」ブー。
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ブーといわれ、ブーとして待ち、順番が来てようやくお通し。・・・じゃなくて、これはクーポンのおまけです。
鶏肉(キジ肉?)とキノコのお醤油煮、という感じでした。
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こちらが、お通し。
黄色い方が辛し和え。これは酢がちょっと入っており、辛みと酸味が絶妙でした。
もう一つは、地元ではよく食されるXXというキノコだそうです。(ちょっと名前を忘れました)なめこをちょっと大きくしたような物で、こちらも醤油味でおいしかったです。
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さて、ここからが本番。ウォームアップが終わって助走に入ったという感じでしょうか。
「これが、土瓶蒸しぃ~?」 おぉ、テンションが上がる!
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では早速、お味見を。・・・・・・・
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はぁ・・・・・・ こりゃたまらん! ・・・・・・
「ここに酒を入れて飲んだら、きっと美味いねぇ」
と思わずつぶやいたら、
「松茸酒というのがあるよ」
と、メニューを見せられました。
(うわぁ・・・・500円なら飲んでみたい!)
と心はガッツリ食い付きましたが、
「そんなぁ・・・・運転手が飲めないのに、私だけが飲むなんて・・・・」。
心優しい私としては、やっぱり一人で飲むなんてことはできません。(;_;)
ああ・・・・、松茸酒・・・・・・。

なんて憂いている場合ではないのです、実は。
あまりにも美味しい土瓶蒸しの中身をチェックしなければなりません、料理実験家としては。(ええ、誰もが「料理研究家」の肩書を使っているので、私は「料理実験家」と言うことにしていますの) 
あ、これは、松茸の小間切れを一つ食べた後です。
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じっと土瓶蒸しの中に見入っている間に、松茸鍋がやって来ました。
ああ、なにやら忙しい! 松茸づくしで興奮してしまう・・・。
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松茸の天ぷらも食べなくちゃ。・・・ああ、忙しい忙しい・・・・・・
ありゃ、天ぷらは松茸ばかりじゃないのね・・・・・というか、松茸は1本? 2本?
他はカボチャやいんげんや・・・・覚えていません。
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忙しさはまだまだ続きます。
いよいよメインイベント! 松茸の、す・が・た・焼・きぃ~!!!
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む・ふ・ふ・ふ・・・・・    マツタケを待つたけ・・・・・(/_^;)
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ありゃ・・・、男には伸びない鼻の下が、松茸に伸びてるじゃないの、アタシったら。・・・・

だって、見てくださいませよ、この逞しい松茸さまを!
火に炙られて、じりじりと切り込みが開いてのけぞってくるのでございますよ。
ああ、エロティック・・・・・・。 ふぅーっ・・・
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これに大根おろしを乗せ、かぼすをキュッとしぼり、お醤油をちょんちょんとつけて食べるのだそうです。
はい、やってみます、喜んで。
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もう、私の人生やり遂げました。(?)何も思い残すことはありません!
はいはい、そうかい、・・・・・・そんなことより、もう胃の賦がはち切れそうなほどいっぱいいっぱいで、何も考えられません。 ギブアップ・・・・!
というところに、松茸ご飯と香の物、そして松茸のお吸い物が出てきます。
松茸ご飯とお吸い物は、おかわり自由だそうです。・・・・・・無理です、おかわりなんて。・・・

ところが、誰もがご飯をおかわりします。
実は、食べきれないご飯は、お持ち帰りができるのだそうです。
部屋の隅には、お持ち帰り用の容器とビニール袋などが用意されていて驚きました。
いやぁ、太っ腹~!

あ、私の腹も太い腹に・・・・・・。
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もう当分、松茸は見たくありません、ブー。
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そんなことはまったくありません。
それどころか、次回来る時には二人で松茸酒を飲める方法を考えなければなりません。

えっ?・・・・また来る気でいるの?・・・・・・アタシったら。・・・・

最後に、幸せのお福分け話を一つ。
お店を出たところに、窓から見えていた山の由来が書かれていました。
どうやら、コウノトリがここら辺に生息していたらしいのです。
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あのコウノトリ? 子どもを運んでくるという、あの鳥?

童話の中でしか知らないコウノトリが、ここにいたなんて! 
まさかこの年になって、本当にコウノトリが子どもを運んでくるとは思っていませんが、子どもが秘める限りない可能性という宝物を運んできてくれる、かもしれません。
そんな気がして、やっぱりなんだか縁起がいいと思いました。

松茸とコウノトリ・・・・・・ふむ、やっぱりこりゃ吉兆だね。・・・(?)

これを読んだあなたにもコウノトリが福を! ふく(福)っとお願いね。d(^.^)
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by anrianan | 2013-11-01 07:54 | ■とりあえず日記
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