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ソウル・サーファー
株主招待券をもらい、その使用期限が今月いっぱい。
何の映画が上映されているかを調べて『ソウル・サーファー』を見ようと思ったが、来週末で終わる。
ならば、と急に仕事の帰りに映画館に走り込み、思いがけずこの映画を観ることになった。

1990年生まれのべサニー・ハミルトンというカウアイ島(ハワイ)出身のサーファーが、13歳で片腕をサメに引きちぎられ、その後復帰するまでのストーリー。

この映画を知ってはいたが、実話だと聞き私はこの映画を観られない、観たくないと思っていた。
だって、あまりにも辛いではないか。・・・・・・
それなのに観ることになってしまい、“これは観させられるのだ” と。
こういうことがたまに起きる。
願っていることが本当かどうか試されるために起きるできごと、または体験する必要があって起きるできごと。

(仕方ない、これは観せられるのだ)
と思いながら画面を見つめていると、ハワイの景色がスクリーン一杯に広がり、これを見た途端に“ああ、来てよかった・・・” とうれしくなる。さらに、明るい日差しと豪快な波を乗りこなすサーファーたちの躍動感とBGMの音楽、もうこれだけで胸がスカッとする。
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アメリカにいた時のあの軽いノリで、きりぎりすのように気楽に楽しく生きていた自分を思い出す。
それでも、主人公がサメに襲われることは分かっているから、この陽気な空気がいつ苦悩へ転換するのかと、彼女が海に入るたびに落ち着かない。

片腕になってからの彼女の苦しみは、きっと、人生でいくたびかの挫折を味わった人間ほど胸に迫りくるものがあるのではないだろうか。
誰もが大きな壁にぶち当たった時に一度は思うことを、彼女も問いかける。
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今までの生活はできなくなる(物理的あるいは精神的のどちらにしても)ということがどういうことなのか、これはその状態に直面した時でないと、人間は真に実感することはできないのではないだろうか、と思う。
(今の私だったら、絶対に立ち直れない・・・・・)
と感じるほどの状況にいる彼女に、このボランティアを指導する女性がなんと答えるだろうか・・・・・・。
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そう・・・・・・、“何か意味があるの” ではなく、“何か意味があるはず” でもなく、“何か意味があると信じる”、これしかないんだな。
絶望に沈んで気力も失ってしまうと、信じるものも見つからず、信じようとする力もなくなっている。
この “信じる”ということは、地獄に下りてきたクモの糸のような気がする。


その後彼女は、洪水で被災したタイへボランティア活動に行く。
画面に広がる光景は、私の中で東日本大震災と重なり、またもや涙が出そうになる。
それでも片腕を失っている彼女にとっては、その悲惨極める状態と人々の生活に接することで、絶望の殻が砕かれることになる。
水を恐れる子どもたちに、海でサーフィンを教えはじめ、そしてサーフィンの大会に出場すると決めて、トレーニングを始めるのだ。

立ち上がりの早さはやっぱり若さがなせる業ではないかと、私は奇跡を見るような思いだった。
でも考えてみれば、いくつかのスポーツである程度の実績を上げてきた昔の自分も同じような道を通ってきたな、と重なったりもする。
十代のころは傷つきやすくもあるけれど修復も早く、すべての波が急激にやって来ては去っていき、次の波に挑んでいく。
だから試合などでも一度波に乗って勝ち始めると、手がつけられない成果を遂げたりするのだ。
そして何よりも支えになるのは、家族をはじめ人々の愛。
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片腕でボードの上に立とうとしては海に落ちるべサニーを見て、私もやったことのあるウィンドサーフィンを思い出した。ウィンドサーフィンは風を受けながら走るけれど、サーフィンは板の上に立つだけ。
さらに波の上を滑り降りるというのが考えられなかった。
私はどうにかボードの上に立って走った程度で、とても風と遊ぶまでにはいたらなかった。
教えてくれた人からはいつも、
「おまえは風とケンカしてるな」
といわれていた。

だからなおさら、風と波と戯れるように乗りこなすサーファーは、私には無い柔軟性とか感性の素晴らしさを持っているようで羨ましく、密かに尊敬もしていた。
私がウィンドサーフィンを始めたのは20代だったけれど、この時すでに、10代で何かを始めるのと20代で始めたのでは、同じ量だけ練習をしても、同じように体力や気力があっても、体の反応が違うとショックを感じていた。
お稽古ごとやスポーツは、早ければ早い方が自然に自分の一部になっていくということがよく分かる。
剣道では「気・剣・体の一致」というけれど、精神的な修養は大人になるにしたがって積み上げることができる。
けれど、道具を使いこなしたり技を身に付けるのは、大人になるほど限界が大きくなるような気がする。


ともかく、恐くて観たくないと思っていた映画だったけど、中盤からはハンカチを当てっぱなし、感動しっぱなし。
あっという間に2時間近くが過ぎ、まるで40分のテレビ番組だったような気がするほど。

もう私の人生も終わり・・・・・・と思っている私だけど、それでも半歩くらいは踏み出してみようかな、生きているのだし・・・・・・踏み出せるかな、と思わせてくれた「ソウル・サーファー」だった。
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※向かって左が本人のベサニー・ハミルトン、右がべサニーを演じたアナソフィア・ロブ

アナソフィアは役に正式に決まった段階で1日4時間、サーフィンや水泳、ウェイトトレーニング、ストレッチなどの徹底的なトレーニングを開始し、ハワイではベサニー本人にサーフィンを教わった。
(公式サイト:プロダクション・ノートより)






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by anrianan | 2012-07-08 12:53 | ■芸術orエンターテインメント
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